研究所活動の指針

 1995年1月17日早朝、阪神地域を襲った大震災によって、私たちは都市直下の大地震の脅威と、事前の対策や準備が重要であることを痛感させられました。また、2004年10月23日に発生した新潟県中越地震は、中山間部型災害による課題を、同年12月26日に発生したスマトラ沖地震・インド洋津波は、地震津波の恐ろしさと防災の国際支援・協力の重大さを私達に教えてくれました。さらに、巨大地震と大津波による多大な被害を及ぼした東日本大震災(2011年3月11日発生)により、日本の防災・減災対策は、根幹的な変革を求められています。

 

 現在進められている地震の調査活動では、多くの尊い生命と財産を奪う大地震が、日本の各地で発生する危険があることが判明してきており、今世紀前半に、巨大地震である南海トラフ地震が、また首都直下の地震が発生する危険性が高いと指摘されています。さらに、最近、平成25年台風第26号による伊豆大島豪雨災害、平成26年広島豪雨災害をはじめとする集中豪雨や台風による洪水や土砂災害・高潮等が多発する一方、火山噴火災害、原子力施設災害等が発生するなど、災害対策や危機管理が重要であると、広く認識されるようになってきています。
 災害は、社会の発展とともに形を変えて出現し、思いもよらぬ被害をもたらします。このため、防災対策も社会の発展に見合ったものにしていく必要があり、そのキーワードとなるものが『情報』や『知識』と考えます。

 

 一方、情報化は、電子メディアの急速な発展とともに社会を根底から変革しつつあり、社会の発展に大きく貢献する可能性があるものの、同時に急激な変化のため、さまざまな歪みを伴う恐れがあります。我々はこの両面をしっかりと把握し、将来の方向を定めていく必要があります。 例えば、防災の面では、情報化の進展とともに、災害の発生前および発生後における情報(災害予警報・防災情報、被害情報、個人安否情報等)の役割はきわめて重要になってきており、被害軽減のために情報をいかに取り扱うかが鍵になっていると言えます。