Smart Fire Fighting その1

Fire Fightingは英語で消防を表します。まさに火と格闘することです。では、スマートな消防は何を表すのでしょうか。答えは、消防の近未来像のひとつであり、他の産業においても検討されているIoT(Internet of Things)あるいはCPS(Cyber Physical Systems)モデルを活用する、です。

 

下図は産業構造審議会商務流通情報分科会が公表した【社会全体がCPSにより変革される「データ駆動型社会」】です。ここに示されているように、CPSによるデータ駆動型社会とは、実世界とサイバー空間との相互連関が社会のあらゆる領域に実装され、大きな社会的価値を生み出していく社会です。

CPSによるデータ駆動型社会

実世界とサイバー空間との相互連関をイメージすることは簡単ではないと思いますが、データを収集・蓄積することと、何らかのモデルを開発することとを合わせ、現実の世界で起きることを予め想定し、行動につなげることです。しかも、モデルはサイクルを回したり、データ量を増やすと改善することが可能なのです。インターネットによって人々の情報への接し方が変革されたのと同様に、CPSによって人々の個別技術システムへの接し方が変革されるだろうと言われています。

 

これは米国の国立標準技術研究所が今年6月に公表した報告書です。報告書の元になったワーキンググループ参加メンバーは、半分が現役の消防士達、半分が各分野の専門家です。

NIST_report

表紙の題名にもあるとおり、研究開発ロードマップです。偶然だと思いますが、Smart Fire FightingにおいてもCPSが検討の柱となっています。日本の消防の近未来像を考えたり、あるいは消防・救急の新たなモデルを検討する上で役立つであろうと想定し、何回かに渡り、この報告書のエッセンスを紹介したいと思います。もちろん、米国と日本の違い、消防のあり方の違い等も踏まえて、お伝えしたいと思います。