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土砂災害防止法一部改正への対応

平成26年8月広島豪雨により広島市北部で発生した土砂災害は死者74名、負傷者69名、全壊家屋179棟という大きな被害をもたらしました。「8.20豪雨災害における避難対策等検証部会」の中間報告が公表された後の平成26年11月現地を訪れ、広島市消防局危機管理部の方々にお話を伺いました。特に、消防局指令センター、危機管理部執務室、災害対策本部室(消防局講堂)の情報システム(電話・FAX含む)設備関係、作業空間・位置関係等を踏まえ、当日の情報処理について確認しました。この時の豪雨は局地的且つ夜から未明だったため、住民への情報提供に関し課題が浮かび上がりました。

八木3丁目県営住宅横から県道41号線方向

 

今般、土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(土砂災害防止法)の一部改正する法律が施行された(平成27年1月18日)のを受け、土砂災害に関する住民への情報提供および警戒避難体制・避難所開設について支援するコンサルティングサービスを立ち上げました。対象は、自治体です。サービス概要は資料を参照下さい。

 

国土交通省の説明会では、「住民に土砂災害の危険性が十分伝わっていない」「土砂災害警戒情報が、直接的な避難勧告等の基準にほとんどなっていない」「避難場所や避難経路が危険な区域内に存在する」等指摘されています。実際、これらをどのように具体的な防災対策に結びつけていくか多くの自治体担当者が頭を悩ませていると思います。土砂災害を想定した災害対策本部・警戒本部図上訓練、避難所運営ゲーム、防災リーダー・ワークショップ等を行うことにより、実践的な防災対策を推進してはいかがでしょうか。

土砂災害ワークショップ (東京都八丈町)

11月23日に東京都八丈町で行われた土砂災害ワークショップの模様です。八丈町大里地区の方々を中心に約30名が参加しました。東京都八丈支庁主催です。八丈町の警察、消防、地元の消防団も参加しました。中央防災会議専門委員・東京経済大学名誉教授の吉井博明先生と当研究所土屋が講師を務めました。

八丈町大賀郷地域では、河口交差点の土砂災害危険区域に対し平成33年完成予定で砂防ダムを建設する計画が進んでいます。今回は昨年の大島町を襲った台風26号による土石流災害や今年8月の広島豪雨土石流災害を踏まえ、「いざという時、どうするか?」を参加者で考えました。実際、皆で河口交差点及び堰堤計画地近くのタウンウォッチングを行い、その後土砂災害危険区域や避難所を地図に落とし込み、避難する場合の経路を確認しました。

今年4月に公表された「内閣府避難勧告等の判断・伝達ガイドラインについて」のポイントを説明し、自分の命は自分で守る場合に活用できる情報源を紹介しました。そして、過去の事例として、2011年紀伊半島大水害、2013年秋田・岩手豪雨災害、台風26号による伊豆大島土石流、2014年広島市土石流災害を振り返りました。

まとめとして、ある状況設定において、どのような対応を取るか皆で話し合いました。多くの方々が素早い避難行動を取るのが良いと発言されました。また、単独行動ではなく、声を掛けあって避難するという意見もありました。大里地区は、八丈町でも古い地区のひとつで、人々の絆も固いことが伺えました。万が一、避難所への道路が土石流等で遮断されたら、土石流の危険が少ない建物に避難すること、それも困難な場合は、家の中で安全な場所(2階あるいは山と反対側)へ避難することを確認しました。

 

(参考)南海タイムス記事